旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2017年9月23日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

圧巻! カナダ建国150周年を祝う、首都オタワの1000人ディナーパーティー

オタワのメインストリートに並ぶディナーテーブルの長さは、なんと300m超!zoom
オタワのメインストリートに並ぶディナーテーブルの長さは、なんと300m超!
2017年7月1日、記念すべき150歳の誕生日を迎えたカナダ。国じゅうが建国150周年の祝賀ムードに沸くなか、首都オタワの盛り上がりようは群を抜いているといいます。そのオタワで8月下旬、前例のないユニークなディナーイベントが催されると聞き、出かけてきました。

1000人が一堂に会する「Canada's Table2017」

「Canada's Table 2017(カナダ・テーブル2017)」と銘打ったイベントとは、首都オタワのメインストリートに1000人分のディナーテーブルを並べ、屋外の晩さん会を楽しもうというもの。しかも立食ではなく、着席でコースディナーをふるまうというのです。

1000人分のテーブルがどれだけの長さになるか想像できますか? 500人が向かい合わせに座ってゆうに300m超! この長さのテーブルを途切れることなく一直線に並べてしまおうというのだから、広大な国土をもつ国の人というのは、考えることもスケールが違いますね。

地平線まで一直線に続く、テーブルが圧巻!

会場となったのは、政府主要機関が集まるParliament Hill(パーラメント・ヒル)前のWellington Street(ウェリントン・ストリート)。日本でいうなら、国会議事堂前か東京駅前の日比谷通りといったところでしょうか。
前日夜から通りを封鎖し、会場の準備が進められました。zoom
前日夜から通りを封鎖し、会場の準備が進められました。
ところで、このイベントに参加することが決まったときから、私の頭の中では様々な疑問が頭をもたげていました。たとえば、
「いったい、どんなふうに会場設営をするんだろう?」
「野外のキッチンで1000人分のコース料理を作ることが可能なの?」
「サービスのほうは追いつくの?」
さらには、
「雨が降ったら、どうするのかしら!?」
なんて、お天気の心配まで。

しかし、そんな私の心配を吹き消すかのように当日のオタワは見事な快晴。夕方6時からのスタートに合わせ、会場を目指しました。8月のオタワの夕方6時といえばまだ日は高く、ドレスアップしてサングラス姿のゲストたちが続々と集まってきます。案内をしてくれたオタワ観光局のスタッフによると、1000人分のチケットは発売開始からわずか数分で売り切れてしまったとのこと。希少なチケットを手にした人たちはみんな少し興奮した様子で、どこか誇らしげにも見えます。

オープンエアのキッチンで繰り広げられるトップシェフのパフォーマンス

テントの下に設営されたオープンエアのキッチンで腕を振るうのは、カナダを代表するトップシェフたち。オタワがあるオンタリオ州を中心に、ケベック、ブリティッシュ・コロンビア、アルバータなどの各州から選りすぐりの10名が招へいされたそう。さらに、カナダの5つの地域の料理をテーマに、それぞれの土地のシェフがメニューを考案したといいます。
夏の宵の心地よい風に吹かれながら、ディナーが進みます。zoom
夏の宵の心地よい風に吹かれながら、ディナーが進みます。
そのシェフたちがフライパンを振り、一皿一皿ていねいに盛り付けをしていく様子が客席から見えました。サービスを担当するスタッフの動きもとてもスムーズ。温かい料理が熱々のうちに運ばれてきます。
私たちが着席したオンタリオ州のテーブルに登場したのは、シカ肉のカルパッチョ、エビとチーズのサラダ、これからシーズンを迎えるジビエ料理はウサギ肉のベーコン巻き、夏が旬の桃のグリルの4コース。さらに、スパークリングワインに始まり、ロゼ、白、赤、カナダ名物アイスワインまで、すべてオンタリオ州産のワインが料理ときっちりタイミングを合わせてサービスされたことにも驚かされました。
首都オタワがあるオンタリオ州をテーマとした料理。海山の幸がぎっしり詰まっています。zoom
首都オタワがあるオンタリオ州をテーマとした料理。海山の幸がぎっしり詰まっています。
大仕事を終えたシェフとスタッフに、惜しみない拍手を!

デザートがサービスされるころ、ようやく空が暗くなり始め、大仕事を終えてほっとした様子のシェフたちが各テーブルにあいさつに回って来てくれました。すると、客席からはねぎらいと称賛の言葉ととともに、どこからともなく拍手がわいてきます。主役のシェフたちはもちろん、サービス担当のスタッフ、ボランティアや警備にあたる警察官の人たちまでもが晴れ晴れとした表情で、この夜、この場所に立ち会えたことを誇りに思っている様子も伝わってきました。
大仕事を終え、リラックスした表情で記念撮影に応じるシェフとスタッフたち。zoom
大仕事を終え、リラックスした表情で記念撮影に応じるシェフとスタッフたち。
参加した私たちもまた、この国を代表するトップシェフの料理を味わえたこととともに、ホスピタリティとオペレーションの素晴らしさ、晩夏のオタワの心地よい空気、そしてゴシック建築の建物が夕日に照らされ色を変えていく風景を満喫したことは言うまでもありません。

カナダの歴史を紹介するサウンド&ライトショーに酔いしれる

デザートタイムが終わり、記念すべきCanada's Table 2017のクライマックスを飾るのは、国会議事堂の建物をスクリーンに繰り広げられるサウンド&ライトショー。週末を中心に定期的に開催されている光と音楽のショータイムですが、この夜は特別プログラム。先住民族の時代から、ヨーロッパ人との交易の始まり、建国150年のカナダの歩みをプロジェクションマッピングと音楽で紹介していきます。いつの間にかParliament Hill周辺は、一夜限りのショーを観ようと黒山の人だかり。約30分のショーが終わり、国会議事堂の壁面に「CANADA 150」の文字が映し出された瞬間、会場周辺が大きな拍手に包まれました。
クライマックスはカナダの歴史を紹介するサウンド&ライトショー。zoom
クライマックスはカナダの歴史を紹介するサウンド&ライトショー。
美しい街、首都オタワでの再会を誓って

パーティーがお開きになった後、食事中に親しくなった隣の席のカップルが話してくれました。
「オタワは首都にふさわしい威厳に満ちた街。どの季節もとても美しく、いつ訪れても楽しいの」
と。この夜のイベントのためトロントからやって来た彼らは、四季折々のオタワを楽しみに空路約1時間の道のりを定期的に訪れているそう。いつの日かまた、この美しい街で再会する機会があることを互いに願いながらハグを交わし別れました。

あと2~3週間もすると紅葉が街を彩り始めるオタワ。氷点下20度近くまで気温が下がる冬には、街を取り囲むように流れる運河は天然氷のスケートリンクになり、24時間自由に滑ることができるといいます。普段、バスや自転車で通勤している人たちのなかには、シューズをスケート靴に履き替え会社へ通う人もいるのだとか。
「キャリーバッグをゴロゴロ引きながら滑っている人もいるよ」
地元の人が教えてくれました。そんなオタワならではの冬の景色を楽しみに、いつか再訪したいと思っています。

取材協力:
カナダ観光局 http://jp-keepexploring.canada.travel
カナダシアター https://www.canada.jp
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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