旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2017年3月7日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

キャセイパシフィック航空A350で関西から香港へ

関西空港の爽やかな空の下で3機が並びますzoom
関西空港の爽やかな空の下で3機が並びます

各社で導入の相次ぐエアバス社の最新鋭機A350。
キャセイパシフィック航空の日本線への投入は関西空港からでした。
今年1月8日に就航を開始し、すでに関西空港の風景に馴染んできています。

チェックインカウンターで保安検査場優先レーンチケットを貰い、朝の混雑する出国手続きをスムーズに通過します。
ウィングシャトルに乗ってゲートに向かうと、キャセイパシフィック航空の3機の機体の並ぶ様子を見ることができました。この光景は香港国際空港以外では珍しく、羽田や成田でも見ることはできません。
A350-900がアサインされているCX567便は深夜香港を出発する折り返し便で、その他2便は空港ステイ便です。

特徴的な機首部を持つスマートなA350は21番ゲートに駐機していました。
優先搭乗で機内に進むと、ダークグリーンのシートが整然と並ぶ落ち着いた空間が広がっています。
ビジネスクラスの並ぶAコンパートメント最後部に座ります。
リバースヘリンボーンの最新式プロダクト。1-2-1の配列で30席が余裕の空間をもたらします。残りの8席は後ろのBコンパートメントに。

ビジネスクラスのゆったりとした落ち着いた空間zoom
ビジネスクラスのゆったりとした落ち着いた空間

早速ウェルカムドリンクのサービスがあり、くつろいだ気分で座席のあちらこちらを探索してみます。真っ先に目に入るのは、4.3インチのビデオハンドセット。個々の座席番号と目的地香港の天気と気温が表示されています。食事の時に起こして欲しいというようなシーン別ウェイクアップコールとドントディスターブ機能が目新しい。
横には、光量が変化するボリューム式のLEDライトスイッチと、シートリクライニングの電動スイッチがあります。前方に向けて開く収納の内側は鮮やかな赤。中にはヘッドフォンが収納され、電源コンセントとUSBポートが見えます。
窓3つ分を独占できる構造で、2つの窓に向かって視線が外を向くので窓際派にはとても満足できるいい席です。

18.5インチのパーソナルTVが前部席との壁となる部分から出て来ます。収納場所が多く、身のまわりをすっきりさせておける工夫がたくさん。
開閉できる扉も多く、操作していて楽しくなります。

通路側の昇降式の肘掛けは下げればフルフラット時のベッド幅が広くなり、巡航中引き上げればプライベート感が増しますので非常に機能的。シートとの間にある隙間は前方にせり上がり、座席と通路を塞いでくれます。
過去のビジネスクラスと決別するような進歩は、足元のスペース。かなり余裕を感じます。
各所が居住性の為に徹底的に考えられた構造です。後方席との間の半円形の壁も、ほどよい個室感覚をもたらしてくれます。

収納が多く快適なビジネスクラスシートと明るいトイレzoom
収納が多く快適なビジネスクラスシートと明るいトイレ

機内エンターテイメントは多彩で、4時間強のフライトでは充分すぎる程のプログラム。MAP画面の他に、視点の違う2種類の機外カメラもあり嬉しい装備です。

熱いおしぼりサービスの後、ほどなくして一人一人に挨拶があり、メニューを手渡されました。
定刻は9時半発ですので、朝食サービスです。メニューの早餐と書かれた文字を追うのもキャセイパシフィック航空ならでは。
テーブルに真っ白なクロスが敷かれて、まずフルーツの載ったプレートがサービスされました。朝たっぷりのフルーツを摂ると、身体がスッキリ目覚めるようです。
次に温かいバゲットやマフィンを選び、ジャムやメープルと共にゆっくりと楽しみます。そしてシリアルやヨーグルトなどをチョイス。
その後メインへと続きます。オムレツ、小籠包、テリヤキチキンの3種類からの選択。
間には、幾度もドリンクのお勧めがあり、窓の外には雲海が見える中でゆったりと時間を掛けてサービスしてくれます。食後のコーヒーを飲み終わる頃には、休日のブランチの後のような非常にくつろいだ気分に。
このたっぷりのフルーツから始まる朝食サービスは、英国統治時代の香港のホテルを思わせるような贅沢な時間になりました。

雲海を眺めながらの朝食の時間zoom
雲海を眺めながらの朝食の時間

前方ドア付近のトイレに入って「おっ」と声をあげてしまいました。窓が装備され、明るい光が差し込んでいます。雲海を眺めているとつい長居をしてしまいそう。オーストラリアのオーガニックブランド、ジュリークのローションなども揃えてあり、さすがビジネスクラスのトイレだと感心します。

食後のゆったりとした時間の中で機内販売も行われました。
新しい機体の乗り心地はいかがですかと聞いてくれました。とても快適ですと答えると、新世代の機体は、乗客はもちろん乗務員にとっても身体への負担が少なくて快適なのだと教えてくれました。

機内販売とパーサーの機内サービスzoom
機内販売とパーサーの機内サービス

ジョイ・キララさんは32年のキャリアを持つベテラン。
ボーイング747-200型から乗務をスタートさせており、エアバスA350を今までにない先進の航空機だと言います。機外カメラも視点が新しく、好きな方はずっと見ていらっしゃいますとのこと。またエコノミークラスの最後尾のギャレーが大きくて動き易く、最後尾の客室から離れているので、ノイズが響かずお客様には快適なのだそうです。

JUNKOさんは20年の乗務歴。笑顔の絶えない親しみ易い話し方は、出身地が大阪だと聞いて納得です。A350の機内エンターテイメントはタッチコントロール式ですが、操作が簡単なので、お客様から操作方法の質問が殆ど出ない優秀なシステムだと説明してくれました。

客室責任者のJOYさん(左)とJUNKOさん(中央)zoom
客室責任者のJOYさん(左)とJUNKOさん(中央)

大阪から4時間半のフライトは香港国際空港へのアプローチの時となりました。香港と中国珠海・マカオを結ぶ橋の建設も大詰め。
上空から工事中の様子を眺め、その後ディスプレーの機外カメラを見ながら快適なフライトが終りに近付いたことを知りました。

「Life Well Travelled」
改めてこのキャッチフレーズを想い起こさせてくれるエアバスA350のフライトでした。

キャセイパシフィック航空 ウェブサイト
⇒ www.cathaypacific.co.jp

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

ブログ「あびあんうぃんぐ」:http://blog.livedoor.jp/avianwing
facebook「あびあんうぃんぐ」:https://www.facebook.com/avianwing
Twitter「あびあんうぃんぐ」:http://twitter.com/@avianjune
risvel facebook