旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年10月18日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

機内食にエンターテイメントの要素を盛り込むDO&CO社

TURKISH DO&CO.本社zoom
TURKISH DO&CO.本社

DO&CO社は、世界10カ国に27のキッチン工場を展開し24社のエアラインを顧客に持つケータリングの会社です。空港ラウンジに始まり、ホテル経営やレストラン展開もその業務の一部ですが、一番の特色はフライングシェフを展開する独特の機内食サービスです。

発祥はオーストリア。日本線の就航時にサービスで定評のあったオーストリア航空の機内食を手掛けていました。
トルコでは2007年にターキッシュ エアラインズの50%出資のもとTURKISH DO&CO社が設立されました。

空港の北側、整備格納庫にも近いエリアにオフィス兼工場があります。
最初に保安検査を受けるのは、空港業務では当然のこと。
髪と靴を覆うカバーを装着し、上着も着用します。

清潔なロビーを通って、まずはキッチンを見学します。
何列ものキッチンカウンターが並び、司令塔となる位置には調理されるメニューの完成写真とともにレシピカードが見易く置かれています。
食器には盛り付けのサンプルが置かれ、見た目も重要視されています。

機内食が造り出されるキッチンzoom
機内食が造り出されるキッチン

ここでは、完全に手作業で機内食が作られています。
赤いロゴの入った機内サービスカートが多く並び、完成した機内食がトラックに積み込まれていました。

ここでは、一日500~600フライトの食事が作られています。
年間にすると6千5百万食。気の遠くなるような数です。

色鮮やなカートが並びますzoom
色鮮やなカートが並びます

カートの手すり部分には、フライト毎に目印のタグが付けられて、キッチンのすぐ横からトラックにて搬出されていきます。
トラックの内部には整然とカートが並び、出発を待っていました。

垣根の無いオフィスに、デスクがランダムに並び、働き易い独特の職場環境ができあがっています。
ミールの数をエアラインから受けるコントロールセクションでは、ガラス張りの大きな窓の外に整備地区に駐機する航空機が近くに見えています。

窓からは多くの太陽光が降り注ぎ、明るい雰囲気の中で仕事をするスタッフがいます。

航空機の動きがわかる機内食コントロールセクションzoom
航空機の動きがわかる機内食コントロールセクション

オフィスの一角には工場とは別に機内食開発用のキッチンが作られており、往路のビジネスクラス搭乗時に見たエキゾチックなトルコ風コーヒーカップや、各種陶器が並び、研究に余念の無い状況でした。
夜間便でキャンドルを使う機内食サービスもここから生まれました。
活発な意見が飛び交って、新しいサービスが作られていくのです。

オフィスの中心部には機体の骨組みを思わせるデザインの壁面が作られており、4つの部屋が並びます。
部屋に入ると、過去のエアラインのファーストクラスを思わせる白い革張りの座席が並んでいます。
モックアップが作られているのは、フライングシェフの教育やエアライン向けのプレゼンテーションを行うから。
ここでは女性職員からのカナッペの提供もあり、和やかな雰囲気の中、会社の仕組みを理解することができました。
ボーイング777とエアバスA340のビジネスクラス、ボーイング737とエアバスA321のエコノミークラスが再現されており、クラスルームと呼ばれていました。

2010年に291人でスタートしたフライングシェフは現在900名が在籍し、ターキッシュ・エアラインズの長距離便に乗務しています。日本線は、成田・関空両空港発の便に搭乗しています。

機内食をエンターテイメントと言うDO&CO社の開発と製造の現場を見ることができて、SKYTRAX社機内食部門で高い評価を受ける理由がわかりました。

DO&COから生み出されるビジネスクラスの機内食とフライングシェフzoom
DO&COから生み出されるビジネスクラスの機内食とフライングシェフ

この先、どんな機内食が生まれて来るのか。
エンターテイメント性のあるサービスに期待がふくらみます。

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航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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