旅の扉

  • 【連載コラム】空旅のススメ
  • 2016年7月19日更新
あびあんうぃんぐ
航空ライター:Koji Kitajima

SKYTRAX「ワールド・エアライン・アワード」プレミアム・エコノミークラス部門1位獲得のエアラインが作りだすフレンドリーサービス

成田空港にてニュージーランド航空の最新鋭機ボーイング787-9zoom
成田空港にてニュージーランド航空の最新鋭機ボーイング787-9

航空会社のサービスの現状は、ファーストクラスが減少し、プレミアム・エコノミーが増えています。
両方を残して、4クラスで運用する数少ないエアラインもありますが、クラスを1つ増やすということは、全てのサービスを見直して新設するということ。
乗務員の編成を増やしたり、エアラインにとっては経営の負担になります。

出張族でもなかなかビジネスクラスに乗れない人が多い中で、プレミアム・エコノミーならというエコノミークラスの上級層を上手に捉える戦略に変わりつつあります。
まだ過渡期のこのプレミアム・エコノミーは、各社サービスの内容も隔たりがあるように感じられます。
その中で、自信を持ってお勧めできるのは、ニュージーランド航空のサービスです。

現在、成田空港から毎日1往復でオークランドに運航しており、機材は最新鋭のボーイング787-9が使用されています。

スターアライアンスのグループ航空会社は、この6月から成田空港の第一ターミナルビルで基本的に自動チェックインとなりました。列に並ぶストレスから開放され、スムーズなチェックインで、実質預け入れ手荷物を持ち込む簡単な手続きを経るだけとなりました。

ゆったりとしたシートに大型の枕とブランケットzoom
ゆったりとしたシートに大型の枕とブランケット

ゲートでの優先搭乗を経て、機内に入ります。
搭乗時に多く使われる2番目のL2ドアを入ると左折するというプレミアム感を味わうところから旅が始まります。ニュージーランドの軽快な音楽が流れており、楽しい旅へ誘うように迎えてくれました。

ピンクパープルの照明に迎えられて、高級感のある黒いレザーシートが2-3-2の配列で3列並ぶ21席のこぢんまりとした落ち着く空間が広がります。
104cmのシートピッチは思ったより広く、最前列に座ったので更に余裕を感じます。
前方のビジネスクラスともパーテションで仕切られ、後方のエコノミークラスの間には、ギャレーとトイレがありますので、独立した空間を満喫できます。

22cmのリクライニングで、レッグレストに加えて調節可能なフットサポートまでが装備されており、足をゆったり伸ばしてもまだ余裕を感じます。可動式のヘッドレストも併せて、身体がシートにフィットするように感じて、フルフラットになる前のビジネスクラスシートにも引けを取りません。

各座席に電源とUSBポートが備わっていますし、前方ポケットにはヘッドセット、スリッパとアメニティーにペットボトルの水がセットされていました。
アメニティーの中には、ニュージーランドの代表的なナチュラルオーガニックブランド「アンティポディース」のリップバームが入っていました。
シートには大きな枕とブランケットが用意されており、乗客は思い思いに長い旅への準備を始めます。

出発時に楽しみにしていたのは、有名な機内安全ビデオです。オールブラックス選手と乗務員による音楽と踊りで紹介するスペシャルバージョン。このビデオは、ユーチューブでも閲覧は可能ですが、実際に客室乗務員が通路前方に立って、非常口の説明のところで手で示してくれますので、臨場感たっぷり。
お客様の注目度は高いです。

満月を愛でながらスパークリングワインを頂き、夕食に舌鼓zoom
満月を愛でながらスパークリングワインを頂き、夕食に舌鼓

シートベルトサインが消えると、いよいよサービスが始まります。

まずはドリンクサービス。
盛んなワイン産業を物語るように、ニュージーランド産のお勧めの赤・白ワイン2種類ずつと、スパークリングワインがカートに並びます。機内で提供されるワインは地上と環境が違うので、ニュージーランド航空では、そうした特殊な環境も考慮して、ワインの専門家による機内提供ワインの審査を年2回行っているとのこと。
そんな厳選されたワインが一粒のチョコレートと共に運ばれて、この先の食事が楽しみになります。

布製の熱いオシボリが配られて、リフレッシュ。
メニューもあり、夕食は3種類からのチョイスです。牛頬肉の煮込み、赤魚鯛の西京焼き、鶏もも肉のコンフィ。どれも魅力があります。
客室乗務員さんは、黒いエプロンの腰ひもにきっちりと折り畳んだクロスを挟み込んでおり、サーバーとしての意気込みを感じさせます。

最初のトレイには、前菜とデザートに、パンを置く皿がセットされていました。ニュージーランド航空の刻印がある陶器製の食器です。ナプキンに包まれた冷たい重厚なステンレスのカトラリーは5種類あります。
パンは別にバスケットで4種類サーブされるので特別感があります。
前菜の後のメインは、その場で聞かれるのではなく、事前に客室乗務員さんが一人一人にオーダーを取ってくれた物を持ってきてくれます。ワンプレートではなくコースで提供されるとは予想外で、非常に満足度の高いサービスでした。

トレイを下げる際には「食事はどうでしたか」と気遣ってくれますので、ホスピタリティの精神が息づいているように感じます。

スナックを勧めてくれたナターシャさんzoom
スナックを勧めてくれたナターシャさん

日本時間でも深夜となるフライトの後半ですが、スナック菓子やドリンクがギャレーに用意されているのも嬉しいです。
日本でも原宿に進出して大人気となったニュージーランド製のオーガニッククッキー「クッキータイム」や、「ウィッタカーズ」のチョコレートなどです。

トイレには、アメニティーのリップバームと同じブランド「アンティポディース」の液体石鹸があり、その香りに癒されます。ペーパータオルのある位置には、ペーパーではなく布タオルが設置されています。使用後に捨ててしまうのは勿体ないほどです。

11インチある機内エンターテインメントは、タッチスクリーンでもリモコンでも操作可能です。最前列は、壁にあるスクリーンで視聴します。
この機内エンターテインメントは、ドリンクやスナックの注文も出来る優れもの。操作した情報がギャレーに流れ、確認した客室乗務員さんにより素早くサービスされます。
プレミアム・エコノミークラスでは、客室乗務員さんが「ワインのお代わりは如何ですか」など、こまめに声を掛けてくれますので、ほとんど操作は不要でした。

リクライニングを最大にしてレッグレストも伸ばしてリラックスモード。足から首まで覆うことのできる大きなブランケットに包まれていると、映画が終わらないうちに熟睡してしまいます。機内で全身を伸ばせる幸せを感じながら休みました。

バケットのお代わりを勧めるシャンテルさんzoom
バケットのお代わりを勧めるシャンテルさん

B787特有の、時間を掛けて少しずつ明るくなる照明で目覚めた後は朝食です。
スターターのフルーツ、シリアル、パンのあとは、温かい3種類からのチョイスです。これも事前にオーダーを取りに来てくれます。モッツアレラチーズとスィートバジルのオムレツ。鮭の塩焼き、だし巻き玉子やゆかり御飯。ワッフル、チェリーコンポートの3種類となります。

今回は特別に撮影させていただきました ニュージーランド航空90便 着陸後のライト機長(左)とバン副操縦士zoom
今回は特別に撮影させていただきました ニュージーランド航空90便 着陸後のライト機長(左)とバン副操縦士

この時間は、雲の合間から朝の太陽の光がこぼれてくる時間。
疲れを残さないボーイング787-9の機内環境と、上質のサービスでニュージーランドで過ごす一日の始まりに活力を与えてくれるようです。

最後には、パイロットの笑顔にも送り出して貰いました。

ニュージーランド航空HPはこちら ⇒ airnewzealand.jp

航空ライター:Koji Kitajima
大阪府出身。幼少期より空への憧憬の念を持ったまま大人になった、今や中年の航空少年。
本業のかたわら情報を発信しています。週末は航空ライター兼ブロガーとして活動中。
旅のモットーは、「航空旅行を楽しまないと旅の魅力は半減です。旅の楽しみは空港から始まる」です。

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