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  • 2012年9月12日更新
リスヴェル編集部トピックス
Editor:リスヴェル編集部

サルヴァティーノ・コレクション Ludovico Dupre インタビュー

ヴァイス・プレジデント、セールス&マーケティング Ludovico Dupre氏zoom
ヴァイス・プレジデント、セールス&マーケティング Ludovico Dupre氏
2010年、イタリア・フィレンツェにオープンした、ラグジュアリーホテル、イル・サルヴァティーノ。オープン以来、瞬く間に世界中に熱狂的なファンを獲得。その常連客の中には、ケイト・モスやケイト・ハドソン、ジェイク・チャップマンなどの世界のセレブも名を連ねる、今最も熱いホテルのひとつだ。
今回はその魅力の秘密を、副支配人である Ludovico Dupre 氏に伺った。
イル・サルヴァティーノの美しいエントランスzoom
イル・サルヴァティーノの美しいエントランス
-まずは、イル・サルヴァティーノについて教えていただけますか?

2007年、当ホテルグループの創設者兼CEOであるマルチェロ・ピゴッツォは、フィレンツェの街から7㎞のほどに位置するフェエーゾレの丘に半ば放置されていたある邸宅に目を留めました。そこは、歴史と文化を凝縮した魅力溢れるフィレンツェの市街に近いだけでなく、四季折々の自然を感じるフィエゾーレの森に囲まれ、トスカーナの美しい丘陵地が一望できるすばらしいロケーションでした。そして翌年、ピゴッツォは1,500万ユーロを投じて、この邸宅の修繕作業を開始しました。

邸宅の歴史は15世紀にまで遡ります。もとは農家の質素な家屋だったものを、1427年にフィレンツェの銀行家、バルディス家が購入し贅沢な邸宅に改装しました。16世紀になると、当時フィレンツェのウール業界で成功を収めていたサルヴァティ家が所有し、長い年月と膨大な資金をかけ大改装を行います。邸宅は、フレスコ画や調度品で飾られ、煌びやかな社交の場となったと言います。その後も持ち主が変わるたびに、16世紀スタイルの表玄関と馬車用の屋根付き車寄せ、正面玄関前の庭園や、温室などが増築されました。1900年代初頭には、芸術評論家やジャーナリストなどの手に渡り、その際に広大なライブラリーが誕生し、絵画や彫刻が飾られました。

ピゴッツォは、地元の優秀な職人を集め、この歴史ある建物の修繕・改築プロジェクトに臨みました。改装には2年の月日を要し、ついに完成したのが、現在の45室の客室とスイートを持つ「イル・サルヴァティーノ」です。

改築にあたっては、建物の歴史に敬意を払い、フレスコ画や巨大な大理石の暖炉など、オリジナルのものを可能な限り、残しています。一方で、現代的な居心地の良さも追求しました。現代の技術とオーセンティックな雰囲気を同時に感じることができる、まさにフィレンツェの街にふさわしいホテルといえるでしょう。
建物の歴史を重んじつつも現代的な要素を取り入れた建物zoom
建物の歴史を重んじつつも現代的な要素を取り入れた建物
-イル・サルヴァティーノの魅力にはその「限りなく自由な」サービスにあると聞きますが、これはどういうことでしょうか?

支配人のピゴッツォは、40年に渡るホテリエの経験の中で、常に最上のサービスについて考えてきました。
そして、そのひとつの結論が、「自宅にいるように自由に」ということです。
まず、イル・サルヴァティーノには通常のホテルのようなレセプションでのチェックイン手続きはありません。到着から部屋に至るまで、まるで個人の自宅に招かれたようなもてなしを感じていただくことができるでしょう。また、食事の時間もフレキシブルです。少し朝寝坊されてしまった日ならば、それがたとえ、11時であろうと、16時であろうと、好きなお時間にお好みのお食事をご用意させていただきます。

-それは、イル・サルヴァティーノのCMにもありましたね。女性が寝間着姿のまま、庭に飛び出し、お気に入りの木の上で朝食をとるという、とても魅力的なCMでした。まさに、あのCM通りのサービスということでしょうか。

はい(笑)。我々の精神はまさにあのCMに凝縮されています。ご自宅ならば、好きなときに好きな食べ物が食べられる。ホテルに滞在していえるときに、その自由が奪われてはならないと考えたのです。

その他、サービスアンバサダーは、フィレンツェでのお買い物や、地元の人しか知らないようなアンティーク情報、トリュフ狩りや近郊のサイクリングなど、あらゆるゲストの希望にフレキシブルに対応します。
スイートの客室。職人の手による美しい内装にため息がでるzoom
スイートの客室。職人の手による美しい内装にため息がでる
-なるほど。それはすばらしいですね。それほどのゲストのニーズに対応するスタッフの育成というのは難しそうに感じますが・・・

私たちのサービスは巨大ホテルグループではなく、家族的な小規模なホテルだから実現し得ました。我々の約40名のサービスアンバサダー(スタッフ)は、あらゆる研修を受けています。たとえばソムリエ、シェフなどの技能を持つサービスアンバサダーは、ファッションやアートの研修を受けています。ひとりひとりが提供できるサービスの垣根を作らないことも特徴です。
しかし、なにより大切なのは、人柄です。我々のサービスアンバサダーは、トスカーナを心から愛し、地元に精通するとともに、ゲストに心からの安らぎと喜びを提供することに、なにより情熱を持っています。知識やマナーは、研修でいくらでも身につけることができます。しかし情熱は、研修では養えません。パッションを持つ少数精鋭のサービスアンバサダーを集めることにより、イル・サルヴァティーノのサービスが実現できたのです。

-なぜ、このようなスタイルのサービスをピゴッツォ氏は理想としたのでしょうか。

ピゴッツォは40年間にわたり、世界の様々なホテルで経験を積んできました。その中で一番歯がゆく感じたことが、大きなホテル故の機動力の悪さ、サービスの分散化です。たとえいくらハード面が整ったとしても、スタッフの仕事の範囲が細分化されればサービスも分断してしまします。また、なにかを改善しようとしても、大きなホテルではその決定、実施までにとてつもない時間がかかる。その点で、45室という小規模のホテルはピゴッツォのまさに理想としていたスタイルでした。
美しい立地に、居心地の良い建物があり、美味しい料理と、どこまでも自由なサービス。イル・サルヴァティーノでぜひそれを体感してください。

Palazzo Victoriaの客室内。手作りの家具、大理石のバスルームなど、古都ヴェローナにふさわしい内装zoom
Palazzo Victoriaの客室内。手作りの家具、大理石のバスルームなど、古都ヴェローナにふさわしい内装
-お話を伺うにつけイル・サルヴァティーノは、旅慣れた人のためのホテルだという印象です。とくに日本人はシャイな面があり、「自由なサービス」というものに慣れていない人も多いのですが、そういう人でも楽しめますか?

仰るとおり、イル・サルヴァティーノは、旅慣れた方を満足させることのできるホテルだと思っております。ご自分が何を求めているか、何に価値を見いだしているかしっかりと認識されている方には、この上なく快適なホテルとなるでしょう。しかし、もちろん旅慣れていないからといって臆することはありません。我々は、あらゆるお客様にとって、最上のサービスを提供させていただきたいと常に願っております。サポートが必要な方にはあらゆるサービスを、静かに過ごしたい方にはお望みの静かな休日を楽しんでいただけると思います。

ヴェローナの街中に位置し、歴史的中心部を観光できる優れたロケーションに位置するzoom
ヴェローナの街中に位置し、歴史的中心部を観光できる優れたロケーションに位置する
—最後に今後の展開を教えてください。

現在我々は、イタリアに、フィレンツェとヴェローナの二軒のホテルを展開しています。今後フランスに2軒のホテルを展開予定です。また、ヨーロッパ以外の地、たとえばカリブなどの展開も視野にいれています。

—それはとてもすてきですね。ちなみに日本へ進出の可能性はいかがでしょうか。

日本のきめ細やかなもてなし、サービス精神、そして四季移り変わる自然、文化については、我々も非情に興味があります。我々がホテルにつくるにあたり、「旅館」にも宿泊し、サービスのひとつのスタイルとして参考にしました。機会と条件にさえ恵まれれば、日本への進出もやぶさかではありません。

しかし、まずは、既存のホテルでの我々のサービスを確立し、より高い支持と信頼を得ていくことになにより重きを置いています。小さく家庭的で、他ではなし得ないサービスの提供こそが、我々の一番の魅力なのです。

イル・サルヴァティーノ
Il Salviatino
住所:Via del Salviatino, 21
TEL:055-9041111
アクセス:フィレンツェ空港、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅からリムジンサービスあり。フィレンツェ市内からホテルまでタクシーで約20分。20ユーロ程度
http://salviatino.com/

パラッツォビクトリア
Palazzo Victoria
住所: Via Adua 37121 Verona,Italy
TEL: 045 590 566
アクセス:ヴェローナのポルタ・ヌオヴァ駅から車で約10分。ミラノのマルペンサ空港から車で1時間40分。
http://palazzovictoria.com/
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