旅の扉

  • 【連載コラム】coffee x
  • 2015年6月24日更新
アムステルダムカフェより
カフェエッセイスト:安齋 千尋

Coffee x Summer solstice / Amsterdam 夏至の朝

2015年6月の夏至の日の朝Amsterdam.
私は前日1時頃寝たにも関わらず、目覚ましを4時にセットして5時前にはアムステル川を自転車で走っていました。
衣替えは日本の季語で、Amsterdamはまだ寒くて朝はコートを着ています。
でもどこかに夏が欲しいのでお気に入りピアスをつけようと前の日から決めて、Tシャツ、ジーンズと一緒に枕元に。去年の夏にシエナで買った珊瑚ピンクのヒトデのピアス。今年も夏がやってくるうきうき感。

Amsterdamでは夏の季語はきっとアイスクリームだなと思います。
あたりまえなようでちょっと違って、オランダと知っている限りドイツでは、アイスクリームやさんは真冬は休業しています。5月くらいになってアイスクリームやさんのシャッターが開くと同時に日が長くなってスーツを着たおじさんもお買い物の帰りのママたちもアイスやさんに寄り道しているのでした。
そして今日は一年で一番日が長い夏至の日blog.
私がAmsterdamでいちばん美味しいと思っているアイスはJordaan地区にあるJordinoというチョコレートやさんのアイスクリームです。Corn or Cup? コーンで♡ってもう先にゆってしまいそう。だってこのチョコのところがたまらないのです。
Jordinoのアイスクリームのベースは牛乳、砂糖、生クリームでクラッシックに作られているそうです。チョコレートはエクアドル産の76%カカオ、バニラはマダガスカル産のピュアなバニラビーンズなどきちんと丁寧につくられていることがひとすくいでよくわかるハッピーなアイスクリーム。

さて、夏至の朝
5:19 AM 開幕のクラッシックコンサートへ行ってきました。
Volks Hotelという若い世代向けのデザイナーズホテルの7階にフレッシュオレンジジュースとクロワッサンが用意してある朝のコンサート。なにもかも建設中ですみたいなこの若い感じがいい空間。まだ外が曇ってていてちょっと薄暗いなかスラーッと始まったのは、
Haydn Sunrise Quartet, op.76 no. 4
Alma Quartetという4人の弦楽器の奏でるAmsterdamのクラッシックコンサート。ハンサムなだけではなく、the Royal Concertgebouw Orchestra と Netherlands Philharmonic Orchestraの奏者から成るとびきりのセンスと才能が集まったバンドなのです。だんだん雲の間から太陽が出てきてきらってなるのを見ながら小さい会場だからこそ響く細い弦の音、繊細なアレンジ。最高に素敵でした。


つづいてLucas Dolsさんが率いるjazzのバンドがつづくのですが、トランペットとチェロ、そして何でもできる音を作る人(パーカッション)の素晴らしすぎる音の空間です。ただただ目をとじて音のなかにいられる幸せ。トランペットの人は、なにやらパソコンみたいのを操作しながら演奏をしていて通勤ラッシュみたいな音、街の雑音、自然の音や子供の声をベースに重ねるように楽器を演奏しています。3人目の”なんでもできる人”は民族楽器のドラムみたいのからタンバリンから見たこともない楽器をちょっと触るだけで、雨の音や妖精がくしゃみするくらいの音みたいのを加えていくのですが、一筋のjazzなnoteは全体をつなげていて音の中に酔いしれます。幸せだな朝からほーんと。

ここのBarでそのままCoffeeを頼んで、ぼーっと7階から見るAmsterdam. この場所からだと駅も、職場のビルも教会もいっきに見えます。Coffee をbarで飲む朝の私。いっちょまえにおじさんみたい。
じつは、夏至の日の前日も私は朝6時ころ自転車に乗っていました(笑)
友人宅からの帰り道。
バレンタインの日にこのTravel コラム”Letter to Juliet”を書いたとき、手元にあったラブレター。”カードなんて捨てられてしまうのかもしれないけどもしかしたらしまっておいてくれるかもしれないから”と選んだ彼が好きな映画のポストカード。その友人の部屋にいくと、小さい頃の写真やなんかの切り抜きが貼ってあるコルクボードに私が渡したカードが貼付けてあったのでした。うれしすぎてどんな顔をしていたのかわからないけどとってもうれしい。
カードを購入した映画専門の古本屋さんも大好きな場所のひとつ。うれしい日の帰りに立ち寄って何百枚もある古いポストカードの前で一枚ずつ同じものを探していたのですが、無謀すぎてカウンターのおじさんのところへ。アニメにでてくるような映画のポスターや本に埋もれたこのおじさんすごすぎます。
−Metropolisのどの場面?
何でもない場面なのだけどTokyoみたいなビルの合間のごにょごにょと説明する私に、最後の1枚だからしまっておいたととりだしてくれて、昨日ね、と私がこのストーリーを話すと笑って売ってくれたのでした。
1.5ユーロ、世界中のどこの景色でもないこのポストカードを共有していることを大切に想いながら朝のBarでCoffeeを飲んでいます。コンサートのリズムの余韻ターララーラ♪
https://www.youtube.com/watch?v=QQMYK3cdVk4

Volks Hotel
若いクリエーターが集まるデザイナーズホテル。Barやイベントスペース、屋上にはサウナと露天風呂がある。
http://www.volkshotel.nl/en/

Alma Quartet
the Royal Concertgebouw Orchestra と Netherlands Philharmonic Orchestraの弦楽器奏者から成る4人。
website  : http://www.almaquartet.com
facebook: https://www.facebook.com/thealmaquartet?fref=ts

Musician Without Boarders
ZONSOPGANG (日の出)クラッシックコンサート企画した団体, Lucas Dols, Diederik Rijpstra (trumpet) and Marijn Korff de Gidts (percussion)
facebook:https://www.facebook.com/MusiciansWithoutBorders?pnref=lhc

CINE QUA NON
Address : Staalstraat 14, 1011 JL Amsterdam
website  :  http://cinequanonline.com
'An encyclopedic collection of film posters, arthouse dads, film stills and books on film fills this dusty crammed space. Amazingly, if you ask for something specific, the staff will know exactly where it is in the ORGANIZED CHAOS' - Lonely Planet

Jordino
Jordaan地区にあるアイスクリームやさん
http://www.jordino.nl

カフェエッセイスト:安齋 千尋
Amsterdamに住んでいます。外国で暮らすため、京都で仲居をしながら学んだ日本、Londonでの宝物の出会いがありヨーロッパにきて10年以上が経ちました。世界中どこにいてもいいカフェに出会うことがとても楽しみです。入った瞬間の香り、音、新聞、いつものバリスタと目が合うこと、私の日々の幸せな瞬間はカフェにあります。
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