旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2015年1月27日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

冬限定のお楽しみ! ハワイのホエールウォッチング

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ハワイで、冬にしかできない体験が、ホエールウォッチングです。
夏の間、食料が豊富なアラスカ沖で過ごすザトウクジラは、冬になると温かな海を求めて約5000キロメートルも離れたハワイ沖へとやってきます。その数、数千から1万頭! 北太平洋に生息するザトウクジラの半数~3分の2がハワイに集まるというのですから、世界中のツーリストだけでなく、クジラたちにとってもハワイは人気の場所なんですね。


豪快なジャンプを見に行く、ホエールウォッチング・クルーズ
揺れが少ない構造のクルーズ船「NAVATEK(ナバテック)」。zoom
揺れが少ない構造のクルーズ船「NAVATEK(ナバテック)」。
ホノルル周辺ではダイヤモンドヘッド沖に集まってくることが多いクジラたち。海岸線からも眺めることができますが、間近で豪快なジャンプを見るならホエールウォッチング・クルーズへ。
「でも、船酔いが心配で…」という人におすすめなのが、揺れの少ないハイテク船「NAVATEK(ナバテック)」です。船体の下に取り付けられた2基の筒形のフィンが潜水艦のように水面下を走る構造なので、ほかのクルーズ船に比べ揺れが格段に小さいのです。

ザトウクジラとのエキサイティングな出会いに感動!
ランチ・クルーズにはブッフェスタイルの食事が付きます。zoom
ランチ・クルーズにはブッフェスタイルの食事が付きます。
ホノルル港にあるアロハタワーの埠頭から出航した船はワイキキ沖を通り、クジラの群れが多く見られるダイヤモンドヘッド沖を目指します。船には海洋生物学の専門家が同乗し、航行中はクジラの生態について楽しく、わかりやすく解説してくれます。
ダイヤモンドヘッド沖で子どものクジラ発見! 目が合うほど近くで見ることができました。zoom
ダイヤモンドヘッド沖で子どものクジラ発見! 目が合うほど近くで見ることができました。
「クジラ発見!!」
船内にアナウンスが響いたら、急いでデッキへ。すると、数10メートル先の海面にしぶきが上がっているではありませんか!

海面につき出した尾びれで水面をたたきつけるのが「テイル・スラップ」、水面で呼吸する“潮吹き”が「スパウティング」、勢いよく飛び出し背中から着水するアクロバティックな動作が「ブリーチング」。運が良ければ、数頭のクジラがかわるがわるジャンプする豪快な光景を見ることができます。

このクルーズで、クジラの発見率は95%以上。運悪く発見できなかった場合、二度目の乗船が無料になるサービスもあるのがうれしい。


ハワイの海は、婚活&子育ての場所

オアフ島の美しい海岸線も楽しめるクルーズ。zoom
オアフ島の美しい海岸線も楽しめるクルーズ。
ところで、どうしてクジラたちはハワイの海に集まってくるのでしょう。
彼らの目的は、繁殖と子育て。冬、温かいハワイの海でパートナーを見つけたザトウクジラは、夏にはアラスカの海でたっぷりの食料を食べてエネルギーを蓄え、冬になると再びハネムーンの地ともいえるハワイへ戻ってきて出産、子育てをするのです。つまりクジラにとって婚活&子育ての場所がハワイというわけ。

クジラの妊娠期間は11~12カ月。ハネムーンベイビーを生んで育てるために、5000キロメートルもの長い航海を続けて戻ってくるなんて壮大でもあり、なんだかロマンチックですね。

ハワイのホエールウォッチングでは、そんな親子のクジラに遭遇できる可能性大。大人のクジラの場合、一度呼吸をすると数10分近く海の中に潜ったままですが、子どものクジラは息継ぎがまだ上手にできないので、海面から顔を出す回数が多いのだそう。一所懸命、息継ぎの練習をしているのかと思うと、「がんばれ!」って応援したくなります。

そして、ハワイ生まれの子どもクジラたちが長い航海に耐えられるまでに成長する春、親子でアラスカを目指し旅立ちます。冬にしか見られないハワイの海の生命のドラマを一度、目の当たりにすると、また次の冬にもクジラに会いにでかけたくなりますよ。
●Atlantis NAVATEK Cruises
(アトランティス・ナバテック・クルーズ)

TEL 1-808-973-1311(予約センター、日本語でOK)
※各旅行会社、ホテルのオプショナルツアー・デスクからも申し込めます。
【催行期間】12月下旬~4月上旬(2015年は4月19日まで)
【料金】ホエールウォッチング・モーニング・クルーズ:大人$57、子ども$30 ホエールウオッチング・ランチ・クルーズ:大人$84、子ども$42
※ワイキキの主要ホテルから送迎付き、子ども料金は12歳まで、6歳以下は無料。

www.atlantisadventures.jp/navatek/index.html


写真: 宮澤 拓
Photo by Taku Miyazawa
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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