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  • 2014年6月6日更新
リスヴェル編集部トピックス
Editor:リスヴェル編集部

ハワイの大自然は何故、心地よさや癒やしさを与えてくれるのか

上空から見た美しいクアロアの全景zoom
上空から見た美しいクアロアの全景
日本人にとってハワイは、単なる“南国の楽園”としての海外旅行先に止まらない事は、歴史や文化、そしてハワイに住む日系人が証明している。歴史学や民俗学の難しい話ではなく、常々ハワイへ行くと「どうしてこんなに清々しく、心地よい気持ちにさせてくれるのであろう」と考えていた。これまでも女性誌の海外特集で“ヒーリング”や“癒やし”を取り上げた多くのケースでハワイ取材をしているケースが目立つ。

ハワイを含むポリネシアの島々の自然や人々が語る神話には、日本の神話と類似したモチーフが発見できる。ハワイの主な6つの島々はそれぞれが実に個性的であるが、日本人に一番馴染みのあるオアフ島の自然と神話を語る上では、「クアロア」が何よりも良い例になるだろう。
古代ハワイアンから受け継ぐ「オアフ島で最も神聖な土地」を感じるzoom
古代ハワイアンから受け継ぐ「オアフ島で最も神聖な土地」を感じる
「クアロアランチ・ハワイ(Kualoa Ranch Hawaii)」は、オアフ島の北東部カネオヘ地区に位置し、観光客には乗馬や四輪バギーなどを楽しむアクティビティとして知られている。しかしその一方で、カメハメハ王朝直轄の土地であったクアロアは、古代には王族しか立ち入ることが許されなかった最も神聖な聖地のひとつでもあり、ハワイの人たちに「オアフ島で最も神聖な土地」と呼ばれ、数々の神話や伝説が語り継がれている知られざる横顔がある。

クアロアはハワイ語で「長い背中」を意味する。ハワイの神話では、火の神ペレの妹のヒイアカがモオ(ドラゴン)と戦い、戦いに敗れたドラゴンがクアロアに聳える山になったと云われている。クアロアを治める酋長の一族だけが入ることを許され、強い霊力が宿るとされる酋長一族の遺骨が今も山の中に埋められているとも云われている。また、クアロア山の麓には天国と地獄の分かれ目があり、その自然から生まれた数々の神話や霊的な空間は、今でも敬意を持ってハワイの地元の人々に崇拝されている。クアロアランチ・ハワイは、古代ハワイアンから受け継いだ自然や遺産を大切に維持管理している。
クアロアにまつわる神話 ホロアペエの渓谷zoom
クアロアにまつわる神話 ホロアペエの渓谷
ホロアペエ(Holoapee)

クアロアの敷地を縦断するコオラウ山脈には沢山の伝説が語り継がれている。山脈に深々と刻まれた皺(しわ:実際には渓谷を意味する)は、古代ハワイアンが大きなカヌーを引きずりながら山越えした際についた跡といわれ、山の至る所にイノシシの化身で半神のカマプアアが掘ったとされる洞窟も多数残されている。そのうちのひとつは、カマプアアが火山の女神ペレに追われた際に隠れた洞窟とされ、ホロアペエ(ハワイ語で走る、隠れるの意味)の名前で知られている。
メネフネ伝説のモリイ養魚池zoom
メネフネ伝説のモリイ養魚池
メネフネ(Menefune)
約800年の歴史を持つモリイ・フィッシュポンドは、南太平洋に住む諸部族の中で唯一魚の養殖を行ったとされる古代ハワイの人々の証となるもので、現存する唯一のもの。その昔、森に住むメネフネ(小人の妖精)が夜な夜な山から石を運び、この池を造ったと言う伝説が伝えられている。メネフネとは、カウアイ島に住んでいたといわれる小人族のことで、身長は普通の人間の半分位だが、筋骨隆々とした肉体をもっていたと言われている。彼らは森に住み、昼間眠って夜働く習慣を持っていた。また、性格はとても温厚で恥ずかしがり屋のため、滅多なことではその姿を見せることはなかったと言われている。

チャイナマンズ・ハット(Chinaman’s Hut)
クアロアの向かいにある三角帽子のような島。1800年代にさとうきび労働者としてハワイに渡ってきた中国人が被っている帽子に似ていることから「チャイナマンズ・ハット」と呼ばれるようになった。またハワイの神話では、コオラウ山脈にはモオという巨大なトカゲの化け物が住んでおり、旅人の命を脅かしていた。そこを通りかかった女神ヒイアカがモオを退治し、その尻尾を海に放り投げ、長い年月を経て島になったのがチャイナマンズ・ハット(ハワイ語でモコリイ、小さい島の意味)と云われている。
クアロアの大自然の中、ヨガや瞑想で癒される時間と空間zoom
クアロアの大自然の中、ヨガや瞑想で癒される時間と空間
クアロアランチ・ハワイは、有名女優がヨガや瞑想するシーンのロケ地として利用され、マナ(超自然的な力/霊力)が宿るスピリチュアルスポットの取材や撮影の機会が多い。ここ数年若い女性を中心に「癒し」、「浄化」、「心と身体のケア」などのトレンドが築き上げられたことから、10名以上のグループ向けに、クアロアのスピリチュアルスポットのある大自然の中でヨガや瞑想をするプログラムもある。そのいくつかを紹介しよう。

クアロア (Kualoa)
ハワイアンの酋長のその一族の修行の場として、武道や槍投げの訓練をしたり、先祖から代々伝わる伝統や文化を学んだりする聖地として使われていた。当時、一般住民の立ち入りは禁止されており、一族とその子孫のみが入ることを許されていた。ハワイアンのカヌーがこの地の沖合を通過する時は、必ず帆を下げ敬意を表したと云われている。この土地の背後にそびえ立つ標高700メートルの「プウオ・マナマナ」と呼ばれる山があり、太平洋から吹きつける貿易風がさらに谷全体を神聖な雰囲気を創り出している。

ハキプウ(Hakipuu)
先住ポリネシアンがハワイに最初に「パンの木」を持ち込んだ場所がこの谷「ハキプウ」。パンの木は大変栄養価にすぐれ、ハワイアンにとって貴重な食物として崇められていた。また、この谷にはヘイアウ(ハワイ古来の宗教の祭祀場)がいくつも残っており、罪を犯したものが逃げ込む駆け込み寺の役割を担う「プウホヌア」と呼ばれるヘイアウもまだ残っている。

プフカイナ(Puhukaina)
カアアヴァの中腹にハワイアンが語り継ぐ天国と地獄を隔てる境目があると云われ、一見すると、島の風景に溶け込むごく普通の山肌にしか見えないが、かつてここから湧き水が溢れ、ハワイアンにとって非常にスピリチュアルな場所と云われていた。その理由に、馬は敏感で何か違う気を感じたら、その場所には決して近寄らないと言われているが、普段クアロアランチで放牧されている馬もここには絶対に近寄ることはないそうだ。このように、クアロアランチ・ハワイの敷地内にはハワイのマナが宿るスピリチュアルスポットが数多く点在する。
のんびり乗馬を楽しみながらクアロアの大自然から心の安らぎの恩恵zoom
のんびり乗馬を楽しみながらクアロアの大自然から心の安らぎの恩恵
また、クアロアランチ・ハワイは、クアロアランチの歴史や活動を広く旅行者に伝える事を目的とした「クアロア・ミュージアム(歴史展示館)」がある。入場は無料。豚の半神「カマプアア」の木彫り、ハワイアンの生活の様子を描いた壁画や装飾品、乗馬用の鞍具、クアロアランチの模型などを展示。パネル写真の展示では、500万坪の敷地内にある3つのハワイ先住民族の生活共同体「アフプアア」(クアロア、ハキプウ、カアアヴァ)の歴史の解説からはじまり、800年前にポリネシア人によって造られたモリイ養魚池での狩猟方法を分かり易く説明している。

ワイキキから車で約45分のところに素晴らしいハワイの大自然がある。その大自然を目の前にすると、何故か心が「ス〜ッ」とする。これもここクアロアに宿るマナのせいだろうか。もちろんクアロアランチ・ハワイは、子供から大人まで大自然の中で様々なアクティビティを楽しめる観光客に人気の場所だ。また、人気のクアロアバーガーもここでしか食べられない。しかし、単なる観光目的として楽しむだけでなく、クアロアを訪れ、そこに自分が立った時、さて、クアロアの大自然が放つマナや古代ハワイアンの息吹は、あなたの心に何を語りかけるだろうか。

【クアロアランチ・ハワイ】
住  所: 49-560 Kamehameha Highway, Kaneohe, Hawaii 96744
電  話: 808-237-8515(ハワイ)
営業時間: 午前7時30分〜午後6時
休  日: 元旦1月1日、クリスマス12月25日
ホームページ: http://www.kualoa.jp
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