旅の扉

  • 【連載コラム】地球に優しい旅しよう!
  • 2013年9月15日更新
自然と動物好きなトラベルジャーナリストの旅コラム
travel journalist:平野 美紀

1億年前の森へ ~世界遺産の森を歩く

静まり返った太古の森に、朝日が差し込み、静寂が解き放たれる瞬間。zoom
静まり返った太古の森に、朝日が差し込み、静寂が解き放たれる瞬間。
先日、ニューサウスウェールズ州北部にあるニューイングランド国立公園へ行ってきました!そこは、世界遺産の森。

約1億年~8千万年前にかけて形成された太古の森です。清々しい森の息吹を思いっきり吸い込んで、リフレッシュしてきました。
ゴンドワナ大陸の生態系がそのままに残る、世界遺産「オーストラリアのゴンドワナ雨林」の森。zoom
ゴンドワナ大陸の生態系がそのままに残る、世界遺産「オーストラリアのゴンドワナ雨林」の森。
ゴンドワナ大陸の軌跡

朝靄にけむる太古の森。日の出の少し前、静まり返った森には、早起きの小鳥たちのざわめきと木々の擦れる音だけが響き渡っていました。

ニューイングランド国立公園は、『オーストラリアのゴンドワナ雨林』と呼ばれる世界遺産エリアの一部です。クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州の2つの州に渡って生い茂る雨林、合計約37万ヘクタールが世界遺産に指定されています。

この世界遺産は、その名前からも想像できるように、大陸分裂する以前にあったと言われる超大陸のひとつ、ゴンドワナ大陸の生態系がそのまま残っているのです!その太古の森に息づく多種多様な動植物を見ながら、森の中を歩くのは最高に気持ちイイ♪
鮮やかなオレンジ色が、深い森の中でひときわ目を引くフレームロビン。zoom
鮮やかなオレンジ色が、深い森の中でひときわ目を引くフレームロビン。
オーストラリアの10セントコインに描かれた生き物

ここを訪れる目的は、もうひとつありました。それは、オーストラリアの10セントコインに描かれた生き物に出会うこと!

オーストラリアの銀貨コインには、すべてオーストラリア大陸ならではの固有種の生き物がデザインされています。一番大きな50セントには、オーストラリアの国章でもあるエミューとカンガルー。次に大きな20セントにはカモノハシ、一番小さな5セントにはハリモグラ、そして、2番目に小さな10セントに描かれているのは……

「オーストラリアの動物と言えば、コアラ!」と思った人も多いのではないでしょうか?
和名ではコトドリと呼ばれる、オーストラリア10セントコインに描かれたライヤーバード。zoom
和名ではコトドリと呼ばれる、オーストラリア10セントコインに描かれたライヤーバード。
でも、残念ながらハズレです…(笑)。10セントコインに描かれているのは「ライヤーバード」という鳥。

ライヤーバードは、日本名では「コトドリ」と呼ばれています。雄がレースのような長く美しい尾羽を持ち、それを広げて求愛行動をする様子が、竪琴に似ているため、このような名前がつけられたそうです。

また、ライヤーバードはモノマネの名人!野生で聴くことはなかなか難しいですが、動物園などで飼育されているのは、カメラのシャッター音やチェーンソーの音などもまねてしまうそうです。こちらで動画をご覧いただけます。

そして、私ももちろん、出会えました♪ただし、険しい岩場を登ったり下りたりする、かなりハードなウォーキングの末に…(笑)。その他にも、たくさんのカラフルで美しい野鳥やカンガルーなどの動物たちとご対面♪
赤々と燃える燃える暖炉は、原始的な薪をくべるオープンタイプ。zoom
赤々と燃える燃える暖炉は、原始的な薪をくべるオープンタイプ。
何もない贅沢

今回、国立公園内のキャビンで2泊したのですが、すぐ横に小川が流れているほかは、周りはどこまでも森。キャビン内の設備も最低限です。

電気は、ソーラーパネルで得たわずかな電力で点灯するライトのみ。1500メートル近い山の上はまだ朝晩寒く、暖房が必要ですが、あるのは大きな暖炉だけ。薪小屋から薪をとってきて、自分たちでくべなければなりません。

水道はありますが、横の小川から引いていますので、そのまま飲むことはできません。トイレは外にある、昔ながらの非水洗。ピットトイレと呼ばれるバイオトイレです。でも、驚いたことに改装したばかりのきれいなシャワーがありました。なんとプロパンガスが設置され、温かいお湯がでるのです!これは、トレッキングで汗を掻いた後に本当にありがたいことでした。
鬱蒼と生い茂る森に囲まれた国立公園内のキャビン。zoom
鬱蒼と生い茂る森に囲まれた国立公園内のキャビン。
しかし、携帯電話の電波も届かない山の中。周りに何もなく、不安に思う人も少なくないかもしれませんが、オーストラリアではよくあることなので、もう慣れっこです(笑)
自分たちで持参した食料で食事を作って、翌朝の日の出を見るために早めに就寝。何もないけれど、どっぷりと太古の自然に抱かれて、心も身体も安らぐ時間を過ごすことができました。

ライアーバードをはじめ、オーストラリアならではの固有の動植物たちが生息する、1億年前の森。リフレッシュするには最高の場所です。

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オーストラリア10セントコインに描かれた鳥 ライヤーバード
travel journalist:平野 美紀
人工物よりも自然に魅せられ、6年半暮らしたロンドンからオーストラリアへ移住。
トラベル・ジャーナリストとして各種メディアへの執筆やラジオ出演などの傍ら、
旅行情報サイトも運営。目下の関心事は、野生動物とエコ。
個人ブログ:http://tabimag.com/blog/
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